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空家等対策特別措置法の現状 措置はホントウに進行している?
空き家
解体
空き家の問題が深刻化し、行政では様々な対策が取られています。
空家等対策特別措置法はそのひとつですが、果たして、この法律はしっかり地域において機能しているのでしょうか。
法律は作ったけど、あとはそれぞれ自治体任せにされ、実際問題、うまく機能していなかった……ということも起こりうることではないでしょうか。
役所の方々も、空き家のことだけに関わっているわけにはいかないでしょうし。
今回は、空家等対策特別措置法についてお話しするとともに、現状について追ってみました。
空家等対策特別措置法って何?
このような深刻化寸前の事態を受けて、平成26年11月に公布されたのが、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)」なのです。
空き家は増え続けている
平成5年~令和5年にかけての資料になりますが、総務省が集計した調査結果であるためかなり信用することができます。
その内容から、空き家数だけであれば、平成5年から30年の間に2倍の増加しています。総住宅数が1.4倍ほどになったことも起因しているのかもしれませんが。
今後の問題をどうにかしようとするために出来上がった法律が、この空家等対策特別措置法です。
そこには、以下のような内容が盛り込まれています。
・空き家の所有者の方々はあたり周辺の生活環境に悪い影響を及ぼさないよう、空き家の管理をしっかりしなければならない
・周辺の生活環境の守るために、放置が不適切である空き家を「特定空家等」に指定する
・市区町村では、空き家対策と向き合い、「計画」、「実施」を努めなければならない
・市区町村長は、空き家の所在や所有者を把握するために調査を行うことができる
・市区町村長は、特定空家等の所有者に対し、必要な助言・指導を行うことができる
・市区町村長は、特定空家等の所有者に対し、必要な措置をとるよう勧告できる
・市区町村長は、勧告に応じない特定空家等の所有者に対し、必要な措置をとることを命じることができる
・市区町村長は、命じられた措置を所有者が履行しなかったときは、行政代執行法に則り、措置を代行できる
・命令に違反、調査を拒んだりした者に対して、罰金を科すことができる
これだけの内容が、しっかりみなさんに浸透すれば、空き家問題はかなり解消されることでしょう。
今後、相続をすることもあるでしょうし、空き家問題は、みなさんと無関係ではありません。
また、空き家問題を解決するために、自治体が意欲的にアクションを取らなければならない法律であることも見えてきます。
まずは、市区町村での、空き家の場所であったり、所有者の方々を把握することが大事です。
お忙しいでしょうけど、頑張っていただきたいですね。
令和5年には一部が改正されている
また、令和5年には、一部が改正されていることも確認しておかなければならないポイントです。
今回の法改正による大きな変更点として、従来空き家の状態を分けるために設定されていた「空家」と「特定空家」の間に、「管理不全空家」が追加されたことです。
「管理不全空家」とは、「特定空き家」のように完全放置という感じではないのですが。それでも、危険性があるであろう空き家のことを指します。
しかし、管理不全空家であっても、勧告を受けた場合、固定資産税等の特例措置が解除されてしまうなど、空き家の管理者にとって不利益なことが起こります。
空家等対策計画の策定状況は……?
空家等対策特別措置法では、まずは、国土交通大臣であったり、総務大臣が取り決めた基本指針に即し、それぞれの市区町村が管轄エリア内で総合的&計画的に行うための対策計画を策定することが要求されています。
いわば市区町村任せになってしまっているのも、それぞれ市区町村で状況の違いに配慮しながら、適切な空き家対策を実施するた必要があるからです。
当然のことですが、この計画自体が策定できていないと、空家等対策特別措置法に則った地域の空き家対策は行うことができません。
市区町村数 | 比率(%) | |
策定済み | 1,399 | 80 |
策定の予定がある | 218 | 13 |
策定の予定がない | 124 | 7 |
策定が完了している市区町村は1,399です。これは、全市区町村のおよそ8割に当たる数で、平成31年時点の6割から増加しており、全国的には策定が進んでいることが、この表からも一応理解することができるのではないでしょうか。
特定空家等の措置の状況
たとえば、地域住民の方々からの苦情を受け、現地調査に出向いた結果、空家が適切に管理されておらず、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼす場合、所有者を調査し、文書を送るなどの方法で状況を伝え、必要に応じて改善を働きかけていきます。
しかし、それではなかなか動かない……という空き家の管理者もどうしてもいてしまうことでしょう。
そのような管理者に対して、もう少し強気の対応が必要です。
平成27 | 平成28 | 平成29 | 平成30 | 令和1 | 令和2 | 令和3 | 計 | |
助言・指導 | 2,078 | 3,077 | 3,852 | 4,584 | 5,349 | 5,762 | 6,083 | 30,785 |
勧告 | 59 | 206 | 298 | 379 | 442 | 473 | 525 | 2,382 |
命令 | 5 | 19 | 40 | 39 | 42 | 65 | 84 | 294 |
行政代執行 | 2 | 10 | 12 | 18 | 28 | 23 | 47 | 140 |
略式代執行 | 8 | 27 | 40 | 50 | 69 | 66 | 82 | 342 |
国土交通省・総務省調査による調査では、平成29年から令和3年にかけて、右肩上がりで増えていることがわかります。
まだ、対策のための準備ができていない市区町村もあるのでしょうけど、準備が整っている市区町村もあり、段々と具体的な対策の取り組みの内容が見えてきています。
対応の速度にも違いはあるのでしょうけど、空き家問題は、決して無視はできない問題である認識は、それぞれ市区町村で持っているようには見えます。
そして、市区町村の対応がしっかりできていれば、間違いなく空き家は減少させることができる問題でもあるのです。
まとめ
市区町村の努力も今後必要ですが、それぞれ空き家の管理者の方々が認識を正すことも大事です。
管理者が、「助言」・「指導」・「勧告」を無視し続けた場合は「命令」が下ることになります。そのような事態になれば、解体に必要となる費用は所有者側の負担です。
この場合、解体業者選ぶなどは行政が代わって行うことになるのですが、良心的にリーズナブルな費用の業者が選ばれるとは限る訳ではありません。結果、自身で見つけて、行うよりも高額な費用が請求されることも少なくありません。
その前になんとかする……という意識はとても大事です。
解体アスベスト相談窓口は、空き家におけるいろいろな問題を気軽に相談することができる問い合わせフォームです。
このような場所に気軽に相談し、まずは、どう空き家と向き合えばいいか具体的にするといいでしょう。
空き家の無責任な管理が許されるのは、もう昔の話しです。