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アスベストの事前調査報告の義務化 しっかり守られている?
アスベスト
空き家
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アスベストの問題が露呈し、安全かつ早急に処理するために「大気汚染防止法」やら、「石綿障害予防規則」と、いろいろな規制の対策が進められています。
実際問題、アスベストに関して増えた業務に戸惑っている業者も未だあるようですが。
アスベストは目に見えないから、日常の業務に追われていると、ついつい後回しでいいや……という気持ちも起きてしまうことがあるのではないでしょうか。
しかし、アスベストに関する法令はかなり徹底しており、怠れば罰則もあるため、まじめにアスベストと向き合い業務を遂行することが仕事だと考える必要があります。
目次
アスベストの事前調査報告が義務化されている
「大気汚染防止法」、「石綿障害予防規則」が改正さたれことによって、既に2020年4月からは、建築物の解体であったり、改修工事を行うときには、アスベストが使用されているかを調べる、いわゆる「事前調査」が義務化されているのです。
2022年4月からはさらに徹底し、一定以上工事現場は、調査した結果を都道府県であったり、労働基準監督署に報告をしなければなりません。
このような感じで法律が改正されたことによって、空き家だけでなく、どんな建築物を解体するうえでも、事前調査を実施しなければならないようになりました。
その過程ですが。
・書面による調査
・目視による調査
・分析による調査
です。
書面調査とは
書面調査とは、建物を建設する際、使われた設計図書あたりのものから、アスベストが含有している可能性のある建材を目視調査以前の段階で特定し、情報整理する作業のことです。
書面だけでなく、発注者に対して聞き取りをして確認することも重要なことです。
特に改修工事や補修などでは、書面が存在しないことも多いため、書面だけで全部を把握するのは難しいことがあります。
アスベストの規制がされていないころの書面は手書きのものも多く、建材の名前も正式名でなかったりし、略称や俗称で記されていることもあるため注意が必要です。
書面調査をしたいと思っても、設計図書が全然残ってないこともあるでしょう。書面調査ができないこともあるため、そのような場合は、次のステップである目視調査へと進みます。
書面調査の結果は、それをベースとして目視調査が行われていくので、現地調査がしやすいよう情報をわかりやすく整理し、アスベストの疑惑がある建材をリストアップしておきましょう。
目視調査とは
目視の調査では、直接、建築物の現場へと行き、実際にどうなのか……を確認します。
あらかじめ準備した書面調査に記した情報と実際の現場での状態を照合し、書面通りであるのか、施工に違っているところはないかを調査し、記録していきます。
アスベスト含有建材の種類であったり、使用例などを把握し、その空き家に使用されている場所はないかを細かく調査します。
目視調査の段階では、空き家の内や外を隅々まで細かく見ることになるので、時間の余裕も必要ですし、脚立や、懐中電灯、ドライバーや、カメラ(スマホ)などの準備もあらかじめ必要です。
分析による調査を省略できることもある
次は、分析の調査ですが。
実際には、書面調査や目視調査によって、アスベストが含有しているとみなし、適正に処理するとすれば、分析での調査を省けることもあります。このことを「みなし判定」と言います。
みなし判定で省略できるのは、あくまでも分析による調査だけです。書面による調査であったり、目視による調査、また、調査結果報告書の作成であったり、届出あたりの作業が省略できる訳ではありません。
事前調査報告の対象となるもの
事前調査報告の対象となるのは、以下のような一定規模以上の工事に対してです。
・解体部の延べ床面積が80㎡以上の建築物の解体工事の場合
・請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事の場合
・請負金額が税込100万円以上の特定工作物の解体or改修工事の場合
報告する義務は、元請業者に課せられます。
事前調査を行った際には、その結果を漏れなく報告する必要があります。
事前調査に必要な資格とは
どのような人たちも建築物の事前調査をできるということではなく、実施できるのは、厚生労働大臣が定めた以下のような人たちです。ご注意ください。
・一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
・特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
・一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
・令和5年9月30日までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録をし、かつ、事前調査を行う時点でも同協会に登録している者
アスベスト調査を怠れば、罰金が科せられる
アスベストの事前調査を怠って着工した場合、大気汚染防止法に則って以下のような罰則・罰金が科せられることになります。
・3か月以下の懲役、また30万円以下の罰金(除去・調査における義務違反の場合)
・6ヶ月以下の懲役、また50万円以下の罰金(作業基準適合命令違反の場合)
しかし、未だ、空き家の解体工事を行う事業者の人たちの中には、「そうはいうものの、そこまで規制は厳しくないのではないか……」という思いもあるのかもしれません。
現実のことを言えば、現在、労働基準監督署を始めとする行政は目を光らせて監視している状態です。
もちろん労働基準監督署をはじめとする行政は、すでに動き出しています。
2022年7月には東京労働局が、8月には大阪労働局が、アスベストの使用ありなしの調査を怠ったとして、送検事例の公表をしています。
また、2022年12月には、大阪労働局が書類送検事例を公表したのですが、その事例は「通報」がきっかけだったという事です。
そもそも労働基準監督官には、捜査であったり、逮捕すること、逮捕の際、令状によらない差押えであったり、捜査・検証、令状による差押え、捜査、検証……と言った権限があるのです。送検だって行うことが可能、ほぼ、警察官と同じ程度の権限が与えられていると言っていいでしょう。
まとめ
アスベストのことがよくわからない……。
だから適当で構わない……。
もうそんなことを言ってはいられないほど、厳しい目が向けられている自覚も必要です。
アスベストの調査を怠ったけど、別に悪気はなかった……。
そんな姿勢が許されるはずはありません。
しかし、まだまだ、アスベストに対してわからないことってあるのではないでしょうか。
解体アスベスト相談窓口は、アスベストや、解体工事におけるいろいろな問題を気軽に相談することができる問い合わせフォームです。
解体アスベスト相談窓口に相談することで、詳しくアスベストのノウハウを知ることができます。
まずは、一度こちらにアスベストのことを質問してみてはいかがでしょうか。