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空き家のアスベストは放置していても大丈夫? 飛散したら誰に責任があるの?
アスベスト
アスベストは、現在、深刻な社会問題となっています。
空き家を所有している方々にとって、決して無関係な問題ではないため、ここでアスベストに対しての理解を深めることが必要です。
空き家は、決して放置が許されている訳ではありません。
同時に、アスベストも本来、放置できない問題のはずです。
もしもアスベストが飛散すれば、その責任は誰が追わなければならないのでしょうか。
目次
空き家のアスベストはそのままの状態でもいい?
昨今、アスベストが社会問題になるほど、自分が所有している空き家にもアスベストが含まれているのではないか、アスベストをそのまま放置しておいて大丈夫?……という不安な気持ちにもなることでしょう。
アスベストを含んだ吹付け材は、いまだ多くあります。家屋が劣化することによって、より繊維が飛散する恐れがあり、まずは、現在の状態がどうなのかを把握しておく必要があります。
もしもご自身の空き家が「劣化」している状態であれば、早急に、除去するなどの飛散防止のための対策が必要です。
その状態がしっかりしていて、すぐにアスベストが飛散するリスクがないだろう……という場合、慌てる必要はないのですが、それでも、空き家の劣化は時間とともに進行するものであるため、飛散を防止するためには、「早め」を意識して、除去などを検討するべきでしょう。
空き家が住宅街などに建っている場合、気づかぬうちに近隣住民の方々に深刻な被害をもたらすことがあります。
アスベストを含む建材をDIYするのは危険?
アスベストによる健康被害が心配だから、壁や天井などの建材を取っ払おうと思い、個人で「DIYしよう」と考える方々もいるかもしれません。
そのとき、やはりアスベストには注意が必要です。
自身でDIYする場合には、設計図書を見たり、建築業者に相談するなどをして、あらかじめアスベストが使用されていないか確認するようにしましょう。
アスベストの疑いがあれば、自分でDIYしないで、まずは、専門業者に相談しましょう。
素人目線で、材質が明らかでない場合もあるでしょう。そのような場合、安易に建材を壊したり、穴をあけたりしないようにしましょう。
軽微な建設工事を行うのであれば、設計図書の確認などの事前調査や、取り残しがないかなどの作業の確認は、自分で行っていい問題なのですが、それでも、アスベスト建材に詳しい専門業者による調査や作業の確認を依頼することがおすすめです。
また、建材を取り外すなどをしなければならない軽微でない工事であれば、また、軽微な建設工事であったとしても、業として解体等工事を行う人が施工をするときには、専門業者の調査や作業の確認が必要となります。
アスベストが使用されている場所
アスベストが使用されている場所は、
・屋根の化粧スレート
・外壁のサイディング
・外壁・内壁の仕上塗材
・洗面所、キッチン、トイレで使われているクッションフロア
・キッチンのコンロあたりの化粧パネル
・ 天井の吸音板
……などです。
それ以外の場所でも使用されていることがあります。
また、店舗併用住宅であったり、鉄骨住宅の天井などに吹付けアスベストが使われていることがあります。
アスベストの確認方法
吹付けアスベストありなしの判断は、設計図書などに記載されている建築物の施工年、使用材料の商品名によってわかることがあります。
商品名がわかれば、メーカーに問い合わせをし、吹付けアスベストが含有されているかどうか知ることができます。
また、国土交通省や、経済産業省によって「石綿(アスベスト)建材データベース」が作成されているため、吹付けアスベスト含有建材に該当しているのかを検索することが可能です。
また、方法には、目視があります。
アスベストは、綿や羽のような感じのやわらかさがあり、商品によって青色、灰色、白色、茶色など見た目が変わります。劣化しているアスベストは、梁や天井などから垂れ下がってしまい、表面には毛羽立ちが出ることがあります。
目視であったり、設計図書などで吹付けアスベストが使用されているかわからない場合は、専門家に相談をするか、または、アスベスト分析機関に調査依頼をするようにしましょう。
アスベスト飛散の責任は誰に問われる?
素人の方々にとって、アスベストは、とても難しい問題であり、つい、そのままの状態で放置してしまう方々もいます。
それで問題が起こらない場合もあるのですが。
ただし、アスベストは、空き家の老朽化によって飛散する可能性があります。
空き家のアスベストは、誰が責任を負わなければならないのでしょうか。
空き家の管理不備によって、ご近所の方々など第三者に損害を与えてしまった場合、「空き家の所有者」は、損害賠償義務を負うことになります(民法717条)。
土地の工作物(=空き家)に瑕疵がある状態のまま所有し、その瑕疵が原因となり、他人に損害が発生したときは、所有者は(たとえ過失が見当たらないとしても)損害は賠償しなければならないのです。
アスベストが飛散し近隣住民に被害を与えれば損害賠償の責任を負うことになるかもしれません。
それ以外にも、
・台風で屋根材が飛ばされて、隣家のクルマを傷つけてしまった
・ヒビの入っていたブロック塀を放置したままでいたら、倒れて通行人に重症を負わせてしまった
・朽廃した空き家が倒壊して、隣家のフェンスや壁を壊してしまった
・庭に植えてある大木の枝が道路に張り出し、枝が落下して人を怪我をさせてしまった
……などのケースでは、空き家の所有者が工作物責任として損害賠償義務を負うことになります。
「特定空き家」に指定されてしまうかも……
空き家が適切に管理されないで、長期間放置されるとおのずと老朽化が進行し、アスベストなどの地域に対してのリスクが発生します。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空き家の所有者、また管理者の方々は、近辺の生活環境に悪い影響を及ぼさないよう、空き家を適切に管理する責務が取り決めされています。
それができていない空き家であれば、特定空き家に指定されることになり、土地の固定資産税の優遇措置が外され、固定資産税が最大6倍にはね上がる可能性があります。勧告・命令に応じない場合は、50万円以下の過料が課されることに。
従わない状態を続けば、最終的には行政代執行を受ける可能性もあります。
吹き付けた部分がむき出しになってアスベストが飛散してしまったり、また、トイレの浄化槽が壊れたりし臭う、ゴミが放置されたり、不法投棄でニオイがきつくなっていたり、ねずみ、はえなどが大量発生してしまっている……など、地域住民の日常の生活に影響が出るケースが該当します。
まとめ
いかにも「危険!」という場合であれば、早急になんとかしなければならないと思うのかもしれませんが、日常生活で何事もないと、つい「そのままで大丈夫……」という気持ちにもなってしまうのではないでしょうか。
しかし、放置された空き家は、やがて老朽化してしまうものです。アスベストが飛散してしまう前に、なんらかの対策をとるべきではないでしょうか。
アスベストで、近隣住民に深刻な被害を与えた場合、責任は、空き家の所有者にあります。
解体アスベスト相談窓口は、アスベストのいろいろな問題を気軽に相談することができる問い合わせフォームです。
解体アスベスト相談窓口に相談することで、プロの目線で、アスベスト対策を行うことができます。不安であれば、一度専門家に相談することがおすすめです。